はじめに
リッツ・カールトンが目指しているものは、じつはホテル・カンパニーの運営ではなく、新しいライフスタイルとしてのブランドを確立していくということなのです(1)
第1章 感謝されながら、成長できる仕事術
1.お客様がベッドで眠りにつかれる瞬間を大事にするホテルマンの仕事は、お客様と接するあらゆる場面で、いかに感性の高いホスピタリティを提供できるかにあるのだと思います。心のサービスは無限大です。場合によっては、一週間後、一ヵ月後、一年後でも、リッツ・カールトンでの出来事を思い出して、幸せな気持ちを味わっていただけるかもしれません。そんな感動をお客様と一緒につくっていけるかどうか。それが私たちの目指すホスピタリティなのです(15)
3.「ノー」と言わない姿勢で対応する私たちはいつもお客様に幸せな気持ちになっていただきたいわけですから、たとえレストランを開けるのが物理的に不可能であっても、たんにお断りするのではなく、他に選択肢を考えるのがプロとしての腕の見せ所なのです(22)
「もう無理だと諦めかけていたけど、さすがはリッツ・カールトンね」これは私たちにとって最高の褒め言葉です。お客様に喜んでいただくことで、私たちもまた幸せな気持ちになれるし、成長できるのです。これが仕事の本質ではないでしょうか(23)
4.お客様に手伝ってもらうのもホスピタリティのひとつサービスの目的はお客様に快適で楽しい時間を過ごしてもらうことにあります。そのためであれば、お客様をステージに上げてしまってもいいと私は思うのです(25)
5.会社都合のシステムからは感動は生まれないお客様の好みや感性は一人ひとり違います。それにきちんと対応してこそ、心に染みるサービスを提供できると思うのです(27)
6.チームワークの良さが最高のサービスをつくる従業員同士、あるいは部署間でのコミュニケーションが取れていれば、きわめて簡単なことです。自分の担当以外のことでも、リッツ・カールトンにはみんなで同じ目的や感性を共有するための仕組みがあります。そのため自分のセクション以外で起きたことでも、ホテル全体の問題としてとらえて行動できるのです(29)
7.感謝の気持ちを再認識するネットワーク「どうやらちゃんと開いたようだな」 「もちろんだ。もしあの時あんたのパラシュートが開かなかったら、私は今こうしてここにいられるはずがない!」 その夜チャールズは一睡もできなかった。あの男のことが頭から離れなかったのである。彼は自分に問いかけていた。あの男は空母の上でどんな格好をしていたのだろうか(34)
人は皆、気づかないうちに、誰かに様々なパラシュートを詰めてもらっている。物理的なパラシュートだけでなく、思いやりのパラシュート、情緒的なパラシュート、そして祈りのパラシュートも……(34)
8.人の成功を手助けした数だけ自分も成功に近づくリッツ・カールトンという自分たちの夢に、才能ある人材を巻き込み、その才能をはぐぐみ、そして個人としての成功に導いていく。それが結果として今度はリッツ・カールトンやひいては自分自身の成功につながっていく(38)
第2章 感動を生み出す「クレド」とは
1.いかに“感動”を提供できるかがプロの仕事サービスを超える瞬間というのは、お客様が言葉にされないニーズまで十二分に満たされたときなのです。リッツ・カールトンのスタッフは、お客様自身ですら気づかれていない望みとは何なのか、それに対して自分ができる最高のおもてなしとは何なのかを常に考えています(41〜42)
2.クレドはどのようにして誕生したかクレドとはリッツ・カールトンの理念や使命、サービス哲学を濃縮した不変の価値観であり、時流や地域性に左右される性質のものではないのです(45)
3.すべてのシーンに通じるクレドの精神クレドはどんな業態にでも通用するサービスの基本理念を示したものといえる(51)
クレドはビジネスの枠を超えて、人が人と接するときに大切にしたいホスピタリティ(おもてなし)の精神を示したものだともいえる(51)
「自分はゲストを心から大切に思っている。ドリンクを6インチ進めるのはゲストの心に触れるプロセスなんだ。そうやって自分のLOVE(愛情)をゲストのハートに送り込むのさ」(53)
大切なのは、「心のこもったおもてなし」という言葉について真剣に考え、実践することです(53)
7.クレドは心から納得するまで繰り返し考えるクレドは従業員が本当に心から納得できるまで、何十回でも何百回でも繰り返して読みます。ただクレドを知っている、頭で理解しているというレベルではなく、心から納得できるまで何度でもです(66)
第3章 リッツ・カールトンを支える7ゆの仕事の基本
1.PRIDE&JOY 誇りと喜びを持てば意欲が湧く人が自分の能力をもっとも発揮するのは、この「誇りと喜び」が一緒になって相乗効果を生んだときではないでしょうか(79)
2.Don't think. Feel 考える前に、お客様の温度を感じなさい温度を感じ取るのは、サービスを受ける側だけではありません。むしろ、五感をフルに使って温度を感じとらなくてはいけないのは、サービスを提供する側です(83)
3.Let's have fun! 仕事を楽しめば自分の感性が発揮できるどんな仕事も、自分の感性やイマジネーションを発揮できる格好の舞台にすることは可能です。そう考えると、一見つらく厳しく思える仕事も楽しんで取り組めるはずです(89)
6.PASSION 情熱は組織を動かすエネルギーになるパッションは、行動するエネルギー、人を動かすエネルギー、そして自分の夢に人を巻き込むエネルギーです(97)
パッション=情熱は、周囲の人を巻き込んでいくエネルギーです。その情熱が強ければ強いほど、現場や組織も大きく変わっていくのです(102)
7.EMPOWERMENT(権限委譲) お客様の願望をスピード解決エンパワーメントの最大のメリットは、その場で独自の決断を下せるスピードにあります(106)
願望やニーズは、それが最高潮のときに満たされることによって、大きな感動を生み出します。願望やニーズがしぼんでしまってからでは、何をやってもお客様の心を動かすことはできません(106)
第4章 サービスは科学だ
5.従業員が“1日2,000ドル”の決裁権を持つ意味大切なのは、お客様にとって一番良い解決方法は何なのかと考えたときに、躊躇なく最善の方法が選べる環境を整えること(125)
6.スタッフの助け合いがミスティークを生み出すリッツ・カールトンに移籍して驚いたのは、こうしたセクション間の縄張り意識がほとんどないということでした。たとえば、急な事情で宴会の設営スタッフが足りないという場合、他のセクションにヘルプを頼んでもいいのです(127)
7.「ファーストクラスカード」でお互いを称えあう頑張れば他のスタッフからの敬意を集め、同時に会社からも評価される――。そんな仕組みがあればこそ、従業員も積極的にヘルプに取り組むようになるのです(132)
8.「サービス・クオリティ・インジケーター(SQI)」が教えること毎日の仕事やサービスを提供する場面で起きてくる欠陥事項、失敗事項、あるいは問題事項などを、一つひとつ数値化して、記録に残す作業のことを指します(133)
お客様にていねいに謝罪をして、しかるべき対処をするのは当然のことですが、もっと大事なことは何故このようなことが起きたのかをきちんと把握すること。どこかにプロセス上の欠陥がなかったかをチェックすることが必要なのです。さらには、同じことが二度とおきないように内部のプロセスを見直す作業へとつながります(134)
大切なのは、お客様に快適に過ごしていただくために、従業員一人ひとりがお客様と同じ感性で問題意識を持ちながら仕事に取り組むということ(135)
第5章 リッツ・カールトン流「人材の育て方」
1.入社面接にドアマンがいる理由とは?従業員と幸せな関係を築きたいと思うなら、採用の段階から自社の理念や価値観をきちんと納得するまで伝える必要があるのです(141)
2.技術は訓練できてもパーソナリティは教育できない人材は、健全な企業体を形づくる栄養素です。美味しそうに見えても栄養価がない人材ばかりを採用していたら、企業はやがて病気になってしまいます。人が健康な体を維持するために普段から食生活に気を遣うように、リッツ・カールトンは採用について真剣に考え、仕組みづくりに取り組んでいるのです(144)
4.新人に感性を発揮するチャンスを与えるまず初めに、地味な現場の仕事の大切さ、それらの仕事が会社のビジョン達成のためにどういう意味があるのか、それを明確に納得できるように伝えるということです。企業が犯す最大の罪は、従業員にビジョンなき仕事をさせることだ、とはリッツ・カールトンの創立者、ホルスト・シュルツィの言葉です(153)
企業活動においては、さまざまな機会に、社員に創造力を発揮する場を与えることが人材育成につながると思います。それを繰り返していくと、自然と判断力やスキルまでもが身についてくるものです(155)
5.現場社員の声を拾い上げる「グッドアイデアボード」若い社員からのアイデアが多いというのは、おそらくベテラン社員に見えていないものが見えるからだと思います。同じ環境のなかにいると、人はどうしても、その環境に慣れてしまいます(157)
若いスタッフは、ベテランの私たちがもう見えなくなってしまったものを見る感性を持っています。会社はそれを企業内の枠やルールの中に閉じ込めるのではなく、むしろ積極的に引き出してあげる必要があるのです(157)
6.単純に思える仕事もビジョンを持てば成功に結びつく向上心の高い人は、バスボーイの仕事からでも何かを学び取り、それをお客様へのサービスになんとか還元しようと考えます(159)
従業員の感性を鈍らせてしまうのは、単純作業や地味な仕事ではなく、「ビジョンなき仕事」なのです(160)
9.目指す年収の5パーセントを自分に投資するどの分野でもいい。本当に成功したいのであれば、目指す収入の5パーセントは自分に投資するくらいでなくてはだめだ。それと、もっともっとセンス(感性)を磨くことだ」つまり現在の年収の5パーセントではなく、目標とする年収の5パーセントを自分への投資に回しなさいと勧めているのです(167)
いつでもどこにでも感性の刃を研ぐ機会がある(168)
第6章 リピーターをつくるブランド戦略
1.トップ5パーセントの感性を大切にするブランドの使命は、お客様への約束を裏切らないことです(171)
2.第2ブランドではなく、他ブランドとコラボレートする第2ブランドをつくるというブランド戦略は、一時的に顧客が増えることがあっても、長い目で見れば第1ブランドの生命力が弱まり、結果的にはマイナスに作用する可能性が高いのです(173)
別ブランドの立ち上げを検討する場合、コンセプトの違う第2ブランドではなく、同じ感性を持つ他のブランドとのコラボレーションも選択肢に入れる価値はあるでしょう(174)
4.感謝されるサービスがブランドの価値を高める「市場のニーズはきちんと吸い上げてブランド戦略を立てよう」営業・マーケティング会議などでよく聞きそうな言葉ですが、この考え方には落とし穴があります。まず、市場のニーズなどないということ。あるのはひとり一人のお客様のニーズと感性だけです。市場のニーズといった瞬間に、実はお客様の顔が見えなくなり、感性の交流が途絶える危険性があります。ディズニーとリッツ・カールトンの共通点は、ひとり一人のお客様に目を向け、つねに感性を磨くステージを提供しているという点です(179)
市場において圧倒的に強いブランドを確立するためには何が必要なのでしょうか。それは、お客様に「満足」していただく100パーセントのサービスを超えて、「感動」を生み出すホスピタリティの舞台にステップアップするということです(180)
6.ブランドを確立される従業員の品格とは品格とは、このように長い間の生活態度や言動などから、自然に形成されてくるものなのです(185)
毎日の地道な繰り返しと積み重ねの上にしか品格は表れてこないのです(185)
第7章 いますぐ実践したい“本当のサービス”とは?
1.サービスは「ジャムセッション」の精神から生まれるジャムセッションの結果がどのような形のサービスになるのかはわかりませんが、誰かのアドリブに誰かが応じることで、お客様の想像を超えたサービスが生まれ、それが感動を引き起こす可能性は高い(190)
3.感性の高いドアマンは1度に三方を見るサービスのクオリティを高めるためには、まず自分の想像力を高める訓練が絶対に必要です。そうして想像力が鍛えられると、判断力も養われ、自然と高い技術やスキルが身についてくるのです(199)
4.心からのおもてなしは、お客様に愛情を示すこと「最初に必要なのは圧倒的なイマジネーション(想像力)の力。5時間以上かかる手術を、最初から最後まで頭の中で瞬時にシミュレーションできなくてはいけない。次にそこで想定される問題に対するジャッジメント(判断力)の力。そして、実際の手術に必要なテクニカルスキル、これらはすべてが優れていなくてはいけない。しかし、もっとも必要なのは、それらをすべて足して、さらに10倍にしたくらいの愛情なんです」(201)
8.お客様から尊敬される人になろうお客様の立場にたった会話、お客様の成功を手助けするための提案、それらは必ず結果として表れ、お客様からの評価に結びついていきます。そして長い年月をかけてワインが樽で熟成するように、相互に尊敬しあえる関係が築かれていきます(215)